鳥と雲と薬草袋

梨木香歩の視点が好きだ。
自然や生き物を見つめる眼差しは、この世界という大きな集合体の中の私たちという小さな存在が、今この一点にあるということを教えてくれる。
決して卑下せずそして驕らず、あらゆる生命と共に生きているということを真っ直ぐ見つめている。

私たちが口にしている土地の名前には、当たり前だけど由来がある。
読んでそのままその場所を表すわかりやすいものもあれば、一体なぜと不思議に思う名前もある。
この本は特にその後者について梨木さんの視点で考察したり楽しんだり思いを馳せたりするエッセイだ。

遠い昔、誰がどんなふうに関わって、それがたった今まで伝わって使われているのか。
心を寄せてみることで、気が遠くなるほどの時間と彼方から届いた想いが、輪郭を持って浮かび上がってくる。地続きで繋がっていることに気づく。
連綿と続く命のように、人から人へと伝わって使われてきたから、今の今までその名前は続いている。
いつかどこかで忘れられてもおかしくはないというのに、今ここにしっかりと届いている。

ずっと気になっていた名前、旅で出会った名前、たくさんのまだここにある土地の名前が、エピソードや考察と共に紹介されている。
ちびちび、ちびちびと読み進めて一年くらいかかって読み終わった。
思い出の写真を見返すように、ふとした時に何気なくパラパラと読み返してみたくなることだろう。

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